ぼたもち(仮)の重箱

躁うつ病、万年筆、手帳、当事者研究、ぼたもちさんのつれづれ毎日

小説

【小説】冴子のビーズ【note】

この前、行くことがかなわなかったイベント。 noハン会。 それの企画の一環で、みんなで小説を投稿して小冊子を作るという。 昨日、届きました! 私の小説も掲載されてるよ! note.mu よかったら読みに行ってね! 今日は昼前にシャワーを浴びたら、すっかり…

あとがきと刈り上げ

10日くらいのご無沙汰でした! ……いや、昔の小説なんか投下してたので。 読んでくださった皆様、ありがとうございます! 10年以上前に書き始めて、途中で放置したり。 もう完結させなくてもいいやと思ったり。 設定とか伏線とかどうしようと思ったり。 でも…

【番外編】永遠に終わらない冬

二人は両親からクリスマスプレゼントをもらった。透明なボディにかわいらしいアクセントカラーがついた、小ぶりの万年筆だ。「結子にはピンク、真実にはブルー、かわいいでしょ」母がにこにことして、嬉しそうに言った。きょうだいでお揃いのものをもらうの…

【小説】終・11 永遠に終わらない冬

午前四時三十分。 もしも家で親が起きていたら、次の機会を考える。けれども親がどちらも眠っていたら、今がチャンスと考える。貴重品や身分証、簡単な着替えを持って、このまま二人で逃げる。家を出ますとの、手紙を残して。「なんの準備もしてないけどいい…

【小説】10 永遠に終わらない冬

カフェで待ち合わせた結子の表情は、前の晩よりもさらに思い詰めた様子だった。真実はその顔を見て猛烈な不安を抱いたが、一方では冷静に受け止める自分自身も存在した。昨夜、自分と姉がしたことを思えば当然のことだった。「私さ」コーヒーカップを持つ手…

【小説】9 永遠に終わらない冬

空には星が輝いているのに、二人は地面を見つめて歩き続けた。本当に寒くない冬だ。今夜は特にあたたかい。小さな声で、ぽつりぽつりと話しながら、真実と結子はゆっくりと家路についていた。ただただ、ぽつりぽつりとにわか雨のように、密やかな会話が互い…

【小説】8 永遠に終わらない冬

二人して立ち止まっていても、他人に見られればおかしく思われてしまう。真実は動揺する気持ちを何とか取り戻そうと、結子に「行こう」と声をかけて歩き始めた。結子も黙って横に並ぶ。行こうと言っても行く当てもなく、ただとぼとぼと真冬の夜道を歩くだけ…

【小説】7 永遠に終わらない冬

夕焼けは遠ざかりますます暗く冷え込んできたというのに、結子はブランコから立ち上がろうとしなかった。姉が動く気配が全く感じられないために、真実もブランコに掴まってしゃがみ込んだままだった。 間近にある結子の小さな顔は、涙に濡れていた。いつの間…

【小説】6 永遠に終わらない冬

翌日、デパートのアクセサリー売場で結子はピアスを物色していた。またしてもコートとバッグを持たされて、真実は姉の後ろをついて歩いた。真実が想像していたよりも高額なものばかりで、少し心配になってくる。買ってやると言うには言ったが、自分が持って…

【小説】5 永遠に終わらない冬

正月は家族四人で近くの神社へ初詣に行くことが、森山家の年中行事になっていた。元旦は毎年天候に恵まれることが多く、今年も少々雲はあるが良い天気だった。大きな神社は大混雑で大変だからと近所の神社へ出向くのだが、やはり相当の人混みだった。幾らか…

【小説】4 永遠に終わらない冬

十二月三十日深夜 子どもの頃から書いていた日記は気楽だったと、今になって思います。今の私は、日記にすら書けないことばかり。私の日々の生活は表面上は変わらないけれど、心の中は千々に乱れています。何故このような羽目に陥ってしまったのか、誰か教え…

【小説】3 永遠に終わらない冬

年末の仕事納めの一日、結子は特に変わったこともなく過ごした。結子の会社は社員五十名程度の小さな事務所で、高齢者や心身障がい者の家庭に介護ヘルパーを派遣する企業の支店だった。社員の男女比は半々で雰囲気も良く、結子にとっては居心地の良い職場で…

【小説】2 永遠に終わらない冬

森山真実(まさみ)は明け方にとても嫌な夢を見て目が覚めた。しばらくは夢と現の間を行き来していたが、携帯電話のメールが着信する音楽でようやく目覚めることができた。不機嫌な心持ちで携帯を手に取ると、つまらない広告メールだった。腹立たしくも感じ…

【小説】1 永遠に終わらない冬

十二月二十四日 ある男の子から好きだと言われました。男の子などと表現するのは申し訳ない年齢ではありますが、私にとって彼はいつまでも男の子です。それに彼はまだ大学生で、既に会社で働いている私にしてみれば、実際に年下でどうしても男の子という風情…

明日から小説連載

最近、noteでガツガツいろいろ書いてます。 10年前に書き始めて、途中で放置していた小説がありまして。 それをnoteで、無理くり完結させました。 ここまで無理くりな完結、私やらかしたことない! というくらい、情けない結末のお話。 (まだ連載中ですが、…

【万年筆短編】誕生日の奇跡

誕生日でも、バレンタインデーでもない。何の記念日でもない。記念日を祝う間柄でもない。そもそも、誕生日がいつなのか、それも知らない。 それでも私は、あの人にプレゼントを渡したかった。 スーツの胸の、内ポケットにさしてあるペン。先っぽには、あま…