あの人が、好きだった。
想いを伝えたけれど、あっさりと振られた。
あの人の、夢を見た。
こんな年になってしまったけれど、結婚しよう。
目が覚めたら、私はひとりだった。
あの人にはもう、愛する人がいた。
あの人はただの一度も、私を振り向くことはなかった。
夢の中で、私は傷だらけのままの私で。
あの人も傷ついてひとりぼっちだった。
人生も半ばを過ぎて、ようやく向き合い、手を取り合った。
それなのに。
目覚めれば、私はひとり。
あの人は、ふたり。
今さら涙も流れない。
こんなことは、慣れている。
私は誰からも振り向かれない。
なぜなら、誰のことも愛していないから。
ただ、ひとりぼっちになるのが怖くて、誰かに頼りたかっただけ。
たったそれだけの、ちっぽけな私。
誰も私を振り向くことはない。
それが、正しい。
あの人は、正しかった。
それが、私のためだった。