「心的外傷と回復」(ジュディス・L・ハーマン著、中井久夫訳)を読み終わりました。トラウマアンドリカバリー。少し難しい本でしたが、とっても勉強になったよ。
何が一番印象に残ったかって、PTSDの人の回復の過程を教えてくれたこと。
どうしてこの病気になったかということよりも、これこれこのように治療していくとこんな風に回復していって、患者の自己感覚はこんな感じに変化していくんだよって教えてくれているところ。
あと、PTSD患者が加害者によってどれくらい自己、内面を破壊されているか、そしてそれは被害者のせいではないのだという姿勢で、何度も強調してくれているところも、「ああ、この著者は本当の味方だな」って感じられて嬉しくなった。
誰でも何かしらトラウマってものはあるのですが、特にひどい人、正式にPTSDと診断されている人は、機が熟したらこの本を読めるといいなと思います。あまり早い時期に読むと、冷静ではなくなり、怒りとかいろんなものが噴出しちゃうかもしれないけど、時期が来たらきっと素晴らしい効果がありそうな本。
あなたを導いてくれる治療者はきっといる。
本のラストに近づくにつれて、「私の回復具合はどの辺りなのかなあ」ってボンヤリ巡らせたりしていました。本格的な治癒にはまだ遠そうな気もするけど、てか遠いけど、回復に向かってスタートを切ったことは間違いない実感がある。私は当事者研究という部分に魅力を感じてそこから歩き出したけど、回復過程はこの「心的外傷と回復」の記述の通りに進みつつあるのかもしれないな。この本が書かれた頃には当事者研究という言葉はないけれど、自助グループ的な事例はたくさん出てきます。私も参加してみたいな、いいグループがあれば。そのうち。
回復へのスタートを切ったのだから、また舞い戻ることはしたくない。もちろん行ったり来たりの少しずつだろうけれど、それでも前進したい。加害者のことを考えることは本当になくなってきて、気持ちが落ち着いているし。焦らずゆっくり歩いていきたいです。
無理しない無理しない。
ひと休みひと休み。
- 作者: ジュディス・L.ハーマン,Judith Lewis Herman,中井久夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1996/12
- メディア: 単行本
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