ぼたもち(仮)の重箱

躁うつ病、万年筆、手帳、当事者研究、ぼたもちさんのつれづれ毎日

即興詩

この場所で

明けの明星 ぽつんとひとりきり のぼる太陽に負けず 眩しく光っている 人の気配のない 道ばたに立って 静かに息を吸い込めば ゆっくり感じる 今日もあなたは 生きる わたしもまた ここで お互いに ひとりきり

朝も昼も夜も

まぶしい光が 暗いところに つよくつよく 射し込んで 影は行き場を失い 煙のように さまよっている さまよって とまどって いつかどこかへ 消えていた 消えたようで 隠れている 影は消えることなく つきまとう 光と影の輪舞 今日も明日も 明後日も繰り返す …

ひとり

ひんやりと つま先から しんしんと 冷えて 凍っていく こころ 深まっていく 秋 忍びよる 冬の気配 ひとりでいることは さびしい いいえ さびしくはない ひとりが いちばん あたたかい 風の案内人 わたしを 連れていく ひとりぼっちの集まる 楽園へ

ひとみ

あなたの瞳は大きくて 静かに澄み切っている 見つめられるのがこわい 私が汚れていることも 私がみにくいことも 泥水をすすっていることさえ すべて見られてしまう きれいになりたい きよくなりたい あなたにふさわしくなりたい それなのに 私はいつまでも汚…

晩秋

となり 歩くあなた 今日も同じ ほほえみ かさかさ ぱきぱき ふみしめる落ち葉 夕べの大気 ひやり 水面におしよせる 息を白く 結び 風に 強く蹴られ 明日から あなたのいない この世

同じ空

都会の切り取られた空を 同じように あなたも見ている どんな色の雲なのかしら どんな色の風なのかしら 届かない想いがふくらみ 弾けて飛び散り 消えてなくなる もうすぐ夜の鐘が鳴る あなたと同じ 月を見る

あの人を、夢に見た

あの人が、好きだった。 想いを伝えたけれど、あっさりと振られた。 あの人の、夢を見た。 こんな年になってしまったけれど、結婚しよう。 目が覚めたら、私はひとりだった。 あの人にはもう、愛する人がいた。 あの人はただの一度も、私を振り向くことはな…

半月

ぼうとうかぶ はんげつ うすぐらく うすあかるい ぼうとした わたしのあたま なにから おもいだせば よいのか あのとき わたしをだきしめた うでが まちがいだったことを いまの わたしは しっている ぼうとした わたしのきおく もう もとどおりに なること…

喪失

失くしたものは なんだったのだろう 組み伏せられて 奪われていった あれは なんだったのだろう 生涯にひとつ 一度なくしたら 二度とかえってこないもの 私は立ち上がる 立ち上がって 歩き出す 失くしたから なんだというのだろう なにも怖くはない この私が…

夜がくる

真っ暗な部屋に 台所の蛍光灯がぽかり 空気清浄機の赤い光 ごおごおと仕事する機械 横たわる私 息を吸って吐くだけの むなしい生物 私が生きていることを 知っている人は どこにいるのか 静かな夜に ひとりでいる 楽しみ

台風

冷房のいらない季節 中は暑く 外は涼しい 汗が噴き出すのに 肌はひんやりと冷え切る 金木犀の香り 雷の響き 去っていく夏と 慌ただしい秋 待ち受ける冬と 遠く見えぬ春 めぐる四季の中に なにを見つければいいのだろう 砂のような かわいた心で

倒れ臥す前に

やすみ やすみ やすめ もう走るのを やめて だれも叱らないから だれも責めないから あなたは 走りすぎた そんなにつかれて そんなにもつかれはてて その汗は尊い その涙は宝石 どうか たおれないで あなたのために 祈っている 今夜も

すべての人が眠る夜

すべての人が 眠る夜 闇の手が わたしを誘惑する たすけてくれる人はなく わたしは ひとりで 闘い続ける もうすぐ 二時だ まだ 夜は長い あの手も この手も 数え上げればきりがない それでも ただここにいる 眠る人が 起きるまで 約束を やぶることは できな…

灰に若葉

桜のちる 朝のように 雪のふる 夜のように わたしの こころは こまかい灰が ふりつもる 灰は 白く しろく こころの すみずみまで 行きわたり しみ込んで 一寸先も 見ることはできない なにが燃えて 生まれた灰なのか わたしの からだか わたしの こころか わ…

ことば

あなたのちいさなことばが 冷静に放たれたものではなく こころからふきだす 悲痛な叫びであったことに わたしは気づかなかった 雪がとけていくかのごとく わたしの 脈うつ 心臓が あらわれてくるのがみえる 握ったナイフを ふり下ろすことはなく そのことば…

まなざし

深夜にふと書いてみた詩を二編。 (私は小説や詩を書くのも好きです) ***** 苦しみの中身はわかってるなにが悪いのかもそれは私ではなくそれはあなたでもなく 少しだけ遠い悪魔のしわざで 雪より白くしてくださいといつわりの証しをし嘘で自らを塗りか…